作業内容

車検

2022.12.24

ドライブシャフトブーツ破れ 交換修理の裏技

 ブログ第2弾は裏技の紹介です。忙しすぎて第1弾からかなり間が空いてしまいました。ブログの更新を待たれていた第1弾でお世話になりましたE90にお乗りのO様お待たせいたしました。前回は長々と綴ってしまったので今回はできるだけサラサラっといきたいと思います。

今回の車両は車検整備でお預かりいたしましたM様所有のVOLVO V50です。

点検した結果色々悪い所がありましたがその中でフロント左側のドライブシャフトのインナーブーツが破れていました。

ドライブシャフトのブーツが破れていると保安基準不適合ですので車検に通りません。車検を通す為には交換作業が必須になります。ざっくりした作業手順は....

タイヤを外す→ナックルとストラットの取付けボルトを外しドライブシャフトが外れるぐらいの可動範囲を確保する(可動範囲が確保できない場合はナックルとロアアーム部分の接続を切り離す)→ドライブシャフトを外す→ドライブシャフトを分解してブーツを交換する→逆の手順で復元作業をする→ATFを充填する(ドライブシャフトはミッション本体に直接接続されているので取外すと必ずATFが抜けてしまう為)という流れになります。

ズバリ.....非常に手間です!!(笑)時間がかかるということは工賃もその分高くなってしまいます。

さて何かいい方法はないでしょうか。あります....あるんです。ここからが今回のブログのテーマです。その方法とは国産車用の割れタイプ(分割式)のシャフトブーツを使う(流用する)方法です。これを使うことによりドライブシャフトを外す事無くシャフトブーツのみを交換する事が出来てしまいます。作業が楽になり整備士はハッピー、工賃が安くなりお客様もハッピー。良い事しかない.......マジ最高っす.....

分割式のシャフトブーツが分からない方はネットでググってみて下さい。国産車では割れタイプがシャフトブーツ交換の主流ですが、残念なことに輸入車の社外品メーカーでは割れタイプのシャフトブーツを造っているところが無く(私が知らないだけかもしれません)、どうしてもノーマルタイプでの交換をされている車屋さんがほとんどだと思います。

私がよく使うのはMiyakoという国産社外部品メーカーの割れタイプのシャフトブーツです。こちらのメーカーは国産車はもちろん、一部の輸入車メーカーも設定があります。ですが、それでも輸入車は設定車種がとても少ないです。なぜこのメーカーのシャフトブーツを使うかというと、いくつか理由はありますが1番は流用できるシャフトブーツを探しやすい点です。それでは実際のやり方をご説明させていただきます。まずは破れているシャフトブーツをカッターなどで切り、シャフトから取外します。

次に外したブーツの各部の寸法をできるだけ正確に測ります。

測る部分は

①ブーツの小径(内径) ②ブーツの大径(内径) ③ブーツの長さ

ブーツ各部の測定が完了したらMiyakoさんのカタログの形状図のページを見て合う物(測定した数値とできるだけ近い数値の物)を探し出します。

ここで注意点が一つあります。アウターブーツの大径側は丸い形状しかないので大丈夫なのですが、インナーブーツの大径側は丸い形状をしている物とコブあり形状の2タイプあります。このコブあり形状が曲者でラインナップが極端に少ないので合う物が見つかる可能性がグッと下がります。因みに今回のV50のインナーブーツの大径の形状はコブありです......少し不安を抱えながら祈る様に探します。因みに品番の左下にある黒丸のマークのある物がコブありのブーツという事ですので一目で分かります。このカタログまじ神っす。

ありました!M-574Gが数値が近かったので取付けできそうです。因みにこのM-574Gはトヨタのカローラ・スプリンター用です(笑)

他にも数値も近いものが2つありましたので念の為M-574Gを含めて3点注文しました。

部品が届きましたのでまずは仮付けして取付けができそうか確認します。小径側(シャフト側)は丸い形状なので少しサイズが合わなくてもゴムの性質を利用してバンドで締め込めば何とかなります。問題はコブがある大径側です。実際に合わせてみると........キレイに合います!やりました!大成功、あざーす!!

M-574Gで大丈夫そうなので取付けを完了させます。

あとはステアリングをいっぱいまで切りタイヤを回転させて繋ぎ目が開かないか、手で引っ張ってみて簡単に抜けないかなどの確認作業を念入りに行います。

念の為実際に試運転をして再度リフトアップして確認しましたが繋ぎ目が開くことなく、グリス漏れも一切ありませんでした。いやぁ~気持ち良いですね~。使わなかった残りの2つは未開封なので取引先の部品商の担当者さんを通じて返品します。何とも言えない優越感に浸りながら陸運局に車両を持ち込みラインを通します。言うまでもなく検査は無事に1発合格。「あざーす」です。以上が今回のブログ第2弾の内容になりますが、少しだけ補足をさせていただきます。ブーツキットのなかに専用のブーツバンドが入っていますが、若干ではありますがサイズの違う物をゴムの性質を利用して取付けしているのでキット内に入っているブーツバンドが使えない事があります。その場合は汎用品のブーツバンドで対応できます。汎用品のブーツバンドはインターネットで購入可能です。汎用品のブーツバンドの使用方法は私の日本語力、文章力では説明するのが難しいので今回は割愛させていただきます.......一つだけ言わせていただきたいのは面倒くさいので逃げたわけではありません(笑)同業者様・自分の愛車をDIYされる方、是非チャレンジしてみてください。輸入車は国産車に比べシャフトブーツやボールジョイントブーツ等のブーツ類が強く(あくまで私の感想)、あまり頻繁に交換作業の事例が少ないですが、最後に私が今までこのやり方で成功したその他の車種と対応品番を綴って今回は終わりにさせていただきます。あざーす。

Mercedes-Benz W123 リヤインナー・アウター共に M-573G(トヨタ ウィンダム用)

BMW Cooper S(R53) フロント右側インナー M-574G(トヨタ カローラ・スプリンター用)

Renault Koleos フロント左側インナー M616G(トヨタ カムリ用)

FIAT Grande punto フロント右側アウター M-533G(ホンダ アクティ用)